タイの今の経済成長はどのように成し得たのか

タイの経済成長を語る上で欠かせないのが外資の導入と直接投資、そしてそれを受け入れ、支えるための環境投資であった。1980年代後半から90年代にかけて資本の自由化を背景に直接投資が増加、タイ政府としては外貨取得のための観光産業発展や海外への出稼ぎ、世界経済の影響を受けた輸出製品品目の工業製品へのシフトなどによって大きな経済成長を遂げてきた。特に日本や韓国を始めとする外資導入によって、これまで農水産物主体の産業から輸出志向型工業化がはかられたことで、急速な成長を遂げた。この背景にBOIを中心として外資導入のためのインフラ整備や産業集積、優遇制度などの拡充を図ったことが多くの外資進出の土壤をつくったものと捉えられている。

現在もなお経済成長率は堅調で、今後も実質GDPの水準は上昇傾向にあることが予想されている。主にサプライチェーンの拠点として自動車部品、ハードディスクなどを生産・供給する大規模な工業地帯が世界経済において重要な役割を果たしている。

一方バンコクを始めとする都市部と地方との間で経済格差が拡大しており、現在地域格差を払しょくするための政策が行われている。現在タイ政府は仏教的思想に基づく「足るを知る経済」政策を行なっており、その一つがゾーン制度であるが、まだ成果が現れるまでには時間を要するものと考えられ、最近ではこのゾーン制を廃止することを検討しており、投資奨励業種の絞り込みを行なっていく方針に転換する考えを示している。また低賃金労働力依存型からの脱却を図るため、中長期的な地域振興政策の是非が問われている。